2025年11月27日(木)、京都経済センターにて「企業と人材をつなぐ、外部人材活用セミナー&マッチング交流会」が開催されました。本イベントは2部構成となっており、第1部では外部人材活用事例を紹介するセミナーが、第2部では大企業と中小企業の人材マッチング交流会が行われました。

今回は、現地とインターネット配信のハイブリッド形式で行われた第1部のセミナーについて紹介します。セミナーにご登壇いただいたのは、株式会社半兵衛麸の代表取締役社長、玉置剛氏です。
まずは、半兵衛麸の概略と経営課題についての紹介です。半兵衛麸は、元禄2年(1689年)の創業以来、京都で麩や湯葉の製造販売を行っている老舗企業です。しかし近年は、食生活の変化やインバウンド増加に伴う日本人観光客の京都離れによる需要の低下、人材確保と育成、コスト上昇と生産性向上などの課題に直面しています。

一方で、社内の人材や知見だけでこれらの課題を解決に導くのは非常に困難であると言わざるを得ません。そこで玉置社長が選んだ方法が、社外の人材活用です。
まず行ったのが、人材不足解消のための出向人材の受け入れです。コロナ禍後、半兵衛麸は販売人材の不足に悩み、大手化粧品メーカーから販売経験者の出向を3年間受け入れることにしました。商材は大きく異なりますが、「販売」というスキルの基本は共通です。即戦力となる販売経験者を受け入れることで、現場の人材不足を解消することができました。
続いて行ったのは、専門的な知見を持つ副業プロフェッショナル人材の受け入れです。半兵衛麸が直面している課題のひとつに、生産管理や原価管理がありました。しかし、社内にはこれらを定量的に把握し、分析できる人材やノウハウがありませんでした。そこで、京都に本社を置く産業医療機器メーカーの生産管理本部長を副業人材として受け入れ、月数回、社内スタッフと共に原価管理の進め方を見直してもらっています。この受け入れは現在も続いており、生産性向上に向けた取り組みが継続して行われています。
さらに半兵衛麸は、マーケティングに長年携わっていた人材の他業種への出向にも取り組みました。これは、商品であるお麸や湯葉の需要低下という課題に対応するために、他業種も経験することで社員の視野を広げ、マーケティングを強化することを目的とした取り組みです。マーケティング企画の人材の出向先は、京都市内に本拠を置く住宅メーカーでした。会場には出向人材と受入企業担当者の双方が来場しており、それぞれ「半兵衛麸のマーケティングはプロダクトアウトがメインだが、住宅メーカーはマーケットインで考える。出向したことで、お客様の声の重要性を再認識できた」(出向人材)「弊社の社員数は20名程度。約100名の従業員がいる半兵衛麸にアンケート等を協力してもらうことで、貴重な結果を得ることができた」(受け入れ企業担当者)とコメントしました。

企業間の人材交流については、たとえば企業秘密の漏洩や人材のミスマッチといった点に不安を感じる担当者もいます。また、自社から人材を送り出す際は、一時的に人材不足に陥るのではないかという不安もあるでしょう。玉置社長もまた、最初はこのような不安を感じていたそうです。しかし、実際に取り組んだ現在、玉置社長は企業間人材交流には4つのメリットがあると感じるようになりました。
1つ目は、「柔軟な人材確保」。出向人材や副業人材を活用することで、自社の状況に合わせて必要な人材を必要なときに確保できるというメリットです。
2つ目は、「専門性の高いスキルの獲得」。副業プロフェッショナル人材のような高い専門性や知見を持つ人材を受け入れることで、中小企業であっても、その知識や経験を共有することができるようになります。
3つ目は、「新しい視点の導入による組織の活性化」。社内の、あるいは業界の常識は、その外部にとっては常識ではないことがよくあります。人材交流を行って外部の常識を知ることにより、組織が新しい視点でものごとを捉えられるようになり、活性化するというメリットです。
そして4つ目が、「次世代リーダーの育成」。人材を受け入れる企業、送り出す企業ともに、人材交流によって特に若い世代の知見や人間性の幅が広がり、ひいてはマネジメントスキルやリーダーシップの向上にもつながるというメリットがあります。
これら4つのメリットを紹介した上で、玉置社長は、人材交流について「不安よりも成果が上回った。人材交流には実際に取り組んでみなければ分からない価値がある」と総括しました。

その後の質疑応答では、半兵衛麸が置かれている状況や外部人材と共に行った取り組みについての質問などが寄せられ、外部人材活用についての関心の高さがうかがえました。
そして最後に、玉置社長は参加者および外部人材の活用を考えている企業に向けて以下のようなメッセージを送り、セミナーは終了しました。
玉置社長からのメッセージ
「一昔前は副業禁止が当たり前でしたが、時代は変化しました。今や副業人材、外部人材の活用や人材交流は特別なものではありません。むしろ、多様な人材活用が重要になりつつある時代です。特にチームプレイで仕事を行っていくならば、外部の力を借りることで、新たな気づきを得たり、思いがけなかった力を発揮できたりすることもあります。最初はイメージしにくいかもしれませんが、実際に取り組むことで初めて理解できる点も多いのではないでしょうか。今日の私の話が何かしらのヒントになれば嬉しく思います」