主催イベント

「女性起業家のためのお金の流れデザインセミナー」開催報告

平成30年9月28日(金)に、メルパルク京都(京都市下京区)において「女性起業家のためのお金の流れデザインセミナー」を京都府よろず支援拠点との共同により開催いたしました(共催:日本政策金融公庫、京都府商工会連合会)。

今回のセミナーのキーワードは「女性の起業」「女性の視点」。女性が軽やかに起業に踏み出せる時代において、女性起業家が末永く事業を継続していくためのヒントとなるような視点を共有すべく、お金の専門家として700件以上もの女性起業家の相談・対策を行われてきた公認会計士/税理士の松田眞理様をメイン講師にお迎えしました。また、女性起業家を日々支援している支援機関の現場からも、京都府よろず支援拠点の山本容子チーフコーディネーター、与謝野町商工会経営支援員の新井千晶様、福知山市商工会経営支援員の日下美佳様、精華町商工会経営支援員の岩井香織様を講師にお迎えし、女性起業家を取り巻く現状や日々の支援内容、相談のポイントなどをご紹介いただきました。

以下、当日の概要をご報告させていただきます。

1.松田眞理様によるご講演

「お金のためのデザインセミナー」と題してスタートした公認会計士/税理士の松田眞理様によるご講演は、女性が事業を成功させるためのヒントを「過去の情報」「現在の状況」「未来の計画」の3つの切り口で整理していく形式でスタート。それぞれの切り口について、独自の整理方法や女性目線を交えながら、事業成功のためのポイントをご紹介いただきました。

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まずは「過去の情報」について。松田様は「いつ・どこで・なぜ・どんな方に・誰が・どんなサービスを・どのようにお届けしたいと感じてきたのか、これらを整理して、形にまとめて、プロモーションしていくと仕事になる」と、5W1H(What, Where, Why, When, Who, How)を見つめ直すことの大切さを強調。5W1Hのうち、特に大切なポイントについて、「1つ目の”What”もそうですが、3つ目の”Why”、動機が一番大事です。ここが弱いと、どこかで失速してしまうことがあります。また、5つ目の”Who”、お客様が誰かということも大切ですが、私が誰なのか、どんなヒストリー(人生)を送ってきたのかということも大切です」と述べられました。

「5W1Hを整理して自分の過去を見つめ直すことで見えてくるのは『あなたの特性』」と松田様。「あなたの特性」についての4タイプの独自の分類を紹介し、風タイプ(思考力・コミュニケーション能力がある)、地タイプ(堅実・安定感がある)、火タイプ(ダイナミック・インスピレーションに富む)、水タイプ(発想力・感受性が豊か)のそれぞれのタイプについて、得意なことや苦手なことを整理した上で、「自分がどのタイプなのかをわかっていると、やり方や対策すべきことが変わってきます」と述べ、自身の特性を把握・活用することが大切であるとしました。

さらに、女性が事業を成功させるために必要な基盤の全体像をとらえるために、「わたしのしごと」を取り巻く3つの要素を図示する独自の方法をご紹介いただきました。図には、「わたしのしごと」を取り巻く「マーケティング」、「マネジメント」、「女性としての日々のくらし」の3つの要素と、それぞれの要素の内容(例:「マーケティング」の4Pや4C)が示されていました。松田様は、それぞれの要素・内容について、事業経営上どのように意識していく必要があるのかを解説された上で、「ご自身の『あなたの特性』のタイプによって、図のどの部分に取り組みやすいかが異なります」と先述の「あなたの特性」との関連についても解説。その上で、「女性起業家は、『女性としての日々のくらし』が特に大切です。日々の暮らしに潤いを感じられるように“自分だけの時間を1日1時間は確保する”と決めることは、日々のくらしの中から事業やコミュニケーションのヒントを見つけることにもつながります。3つの要素をトライアングル(三角形)にしてバランスをとりながら継続していくことが重要です」と述べ、「わたしのしごと」を取り巻く事業の全体像の把握の必要性を強調されました。

次のトピックは「現在の状況」からのメッセージ。現在の身体や事業の状況をもとに事業の成功のヒントを掴むにあたり、松田様が最初にご紹介されたのは、右手の薬指と人差指との長さを比べて男性脳か女性脳かを診断する方法(心理学者ジョン・マニング博士の「二本指の法則」:赤ちゃんの時に浴びた男性ホルモンと女性ホルモンの量で指の長さが決まる)。会場で実際に参加者の皆さまに診断していただいたところ、多くの方が長い薬指(男性脳)であるということが判明する一幕も。男性ホルモン(テストステロン)と女性ホルモン(エストロゲン)のそれぞれの作用・特徴を列挙した上で、「男性脳の方は迅速な意思決定やプランニングに向いています。マーケティングの4Pへの意識が強くなりがちなので、『わたしのしごと』では努めて4Cを意識しましょう」、「女性脳の方は、アイデア創出・ファン創出に向いているので、『わたしのしごと』ではプランニングや経営者思考を意識しましょう」と、「わたしのしごと」の図との関連を説明。それぞれの脳の得意なことや気をつけるべきことをご紹介いただいた上で、「事業の入り口は自分の得意なところから。『わたしのしごと』の周りにある3つ全ての要素がしっかり成り立ってこそ、『わたしのしごと』は木として根付いて育ってきます」と、「わたしのしごと」をバランスよく推進していくためのヒントをご紹介いただきました。

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「現在の状況」の次の話題は、「忘れてならない女性のリズム」と題して、女性の身体の28日間のリズムのグラフを紹介。「人によっても異なるが、生産性の高い時期とそうでない時期とがある。身体を大切にしなければいけない時期には仕事を減らすなどの工夫は有効」と松田様。また、年齢別のホルモン分泌量の推移を図で紹介し、「こうした知識は、自分の身体のことを知るという面だけではなく、お客様とのコミュニケーションやビジネスのヒントにもなります」と、人体の仕組みの把握の重要性を示唆されました。

話題は、現在の「事業のステージ」へ。「こどもを育てるように仕事を育てる」というテーマで5つの事業ステージ(0~4歳ステージ、4~6歳ステージ、6~12歳ステージ、12~18歳ステージ、成功スパイラルステージ)をご紹介いただき、「0~4歳のステージでは、自分でできてしまうことでも色んな方に頼りましょう。そうすることで、ファンや支援者との関係を生み出していくことにつながります。また、そうした方と実際にお会いできたときに、すぐにお話できるようにする準備の意味を込めて、支援者のリストを書き出していくことも重要です」、「4~6歳のステージでは、スタッフを入れたり自動化を試みたりして、自分以外の方を巻き込んでいくステージ。褒め励ましたり、できることを伝えていきましょう」など、各ステージについての具体的なアドバイスをいただきました。「現在の状況」から読み取るメッセージとして、「女性ならではのリズムがあることを知り、それをとことん味方にしながら、事業のステージを意識して、1~5のステージをぐるぐるまわすことを目指しましょう」とまとめていただきました。

講演の最後のトピックは「未来の計画からのメッセージと時間管理」。まずは、「どんなこどもに育ってほしい?ゴールを決める」と題して、参加者の皆さまにお配りしているワークシートに年収360万円、600万円、1200万円、4800万円をどのように達成していくのかを記入していただく時間に。高額の目標になればなるほど難しくなるということを参加者の皆さまにも実感していただいた上で、「高額になればなるほど、今の自分の商品・サービスとは違うものを生みださないと達成が難しいと思います。ゴールを決めることは、別のしくみを考えるチャンスです」とゴールを決めることの大切さを強調されました。

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また、ゴールに向けたプランニングや、プランを着実に実行するための方法としては、松田様独自の「ときめき事業計画書」や「SUGOI-NOTE(すごいノート)」を例示。「ときめき事業計画書」で、開業にあたって整理すべき内容の明確化や動機の掘り下げ、「この方を幸せにしたい」という方を選んでの仕事の提供方法などをプランにした上で、「SUGOI-NOTE」で「現実・夢・その差を埋めるための具体的行動」を書き出して、毎日見て、実行に移す、という方法をご紹介いただきました。「身体のリズムがあるので、成功体験を重ねていかないと嫌になってしまうこともある」という松田様の言葉に、参加者の皆さまも頷かれていました。「未来のゴールが決まったら、あなたのその道(事業計画)を小さなタスク(今日のタスク)に分解しましょう」と、“未来から今を見る”という視点を示して講演を締めくくられました。

2.山本チーフコーディネーターによる講演

「女性起業家サポートの現場から」と題してスタートした、京都府よろず支援拠点の山本容子チーフコーディネーターによる講演。女性がかろやかに起業したり、情報発信が気軽に無料でできる時代にあって、「女性の視点・行動力を活かす」というキーワードで、日々の支援にかける思いや事例についてお話させていただきました。

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「結婚すると、途端に“~さんの奥さん、~さんの妻、~くん・~さんのお母さん”。そうした言葉が、女性の生き辛さや社会参加の余地の狭さにつながり、それを取り戻すように起業するという面もあるように個人的には感じる」と自身の思いを打ち明けた上で、「女性には生活者の視点や現場ベースの視点があり、今までには無かったサービスを生み出す力・想い・情熱を持っている」と女性起業家の支援現場での実感を語りました。

そして、「女性起業家の方は、言葉になる前にたくさんの想いをもっている」とした一方、「事業計画に落とし込むと、その想いが失われてしまう(言葉にうまく込められていない)ことがある」と述べ、ビジネスモデルキャンバスによる経営資源の整理方法を紹介。資金だけでなく、キーパートナー(Key Partners)としての家族や、キーリソース(Key resources)としての経営者の想いや人柄などの大切さについて強調しました。

話題は、京都府よろず支援拠点での女性起業家の支援事例紹介へ。相談者の方が来所された際の状況や課題についてご紹介させていただくとともに、事業計画や資金繰り、プロモーション、営業活動などについて、起業家の方と支援拠点とが二人三脚で歩んでいく過程を紹介させていただきました。「今までに無かったサービスを生み出したい、という女性の視点を大切にし、そのモチベーションをビジネスに活かして、雇用を生み地域の役に立つビジネスを支援します」という言葉に、参加者の皆さまも頼もしそうに頷いておられました。

3.京都府内の女性経営支援員の皆さまをお迎えしての対談 & 個別相談会

続いては、松田様、山本コーディネーターに加えて、与謝野町商工会経営支援員の新井千晶様、福知山市商工会経営支援員の日下美佳様、精華町商工会経営支援員の岩井香織様を講師にお迎えし、京都府内の各地域での支援内容や相談のポイントなどを対談形式でご紹介いただきました。

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「女性経営支援員ならではの立場で“こういったこともお聞きできます”というポイントがあれば教えてください」という、参加者の皆さまを代表しての松田様からのご質問。岩井様は「ご相談者の方ときちんと向き合って、何がしたいのか、キャッシュ(資金)のことをきちんと考えているか、ということをお話していきます」とご回答。松田様の「場合によっては、創業を考え直される方も?」というご質問には「そういう方もおられました。子供さんがまだとても小さく、ご自身の時間が確保できるかどうかを考えられていないことがありました」と新井様。女性起業家の“女性としての日々のくらし”へのバランスの配慮が伝わってくるように思いました。

商工会への相談に馴染みがないという方にも、相談の第一歩を後押ししてくれるようなお話も。日下様からは「『商工会へ何を相談しにいけばよいのかわからない、敷居が高い』と思っておられる方もおられるかもしれませんが、普段、ささいなことでもご相談いただきます。例えば、『パソコンが固まったのですが、どうしたらいいですか』、『従業員が病気で休んだのですが、どうしたらいいですか』といったご相談も」、岩井様からは「『何が不安かわからない』、という漠然とした不安を抱えておられる方もおられますが、本当にやりたいことについてお話していくうちに深掘りしていくこともできます。皆さまには無限の可能性があります」と支援の姿勢をアピール。新井様からは「せっかく想いをもって取り組んでおられるので、何でも良いから聞きにきてください。そうでないと前に進めないので」と力強い後押しのお言葉もいただきました。

松田様からの「(支援の相談には)ふらっと入っても良いものですか?」というご質問に対しても「OKです」と皆さま一致のご回答。山本コーディネーターからは「原則予約制で、事前にお申込みいただければ、より適切なコーディネータとのご相談が可能になります」とのご案内もいただきました。また「『良い補助金はありませんか』というご相談のお電話から、その裏にある資金繰りへの不安がわかるなど、経営全体の相談に発展することもあります」というご相談の展開例もご紹介いただきました。

対談全体を通じて、「地域に根ざした支援機関が、地域の企業と一緒に歩み・育てていく」という思いがお言葉や姿勢の端々にあふれているように感じられました。セミナー終了後には、講師の皆さまによる個別相談会が開催され、7名の方にご参加いただきました。講師の皆さま、参加者の皆さま、本当にありがとうございました。

*  おわりに

京都中小企業事業継続・創生支援センターでは、中小企業の皆様を支援するために、今後もイベントの開催や支援体制の整備・強化を行って参ります。最新情報は『京都起業~承継ナビ』をご覧ください。

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