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「京都府プロフェッショナル人材戦略拠点オンラインセミナー 中小企業のデジタル化の ポイントと実行ノウハウ」開催報告

令和3年2月22日(月)に、「京都府プロフェッショナル人材戦略拠点オンラインセミナー 中小企業のデジタル化のポイントと実行ノウハウ」を開催いたしました。

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点は、京都府内の中小企業の皆様に、「攻めの経営」への意欲を喚起し、プロフェッショナル人材の活用による成長戦略実現を促す目的で、公益財団法人京都産業21内に平成27年12月1日に設置されました。

今回のセミナーのテーマは「中小企業のデジタル化」です。企業経営においてデジタル化(DX)は不可欠なテーマとなってきています。その一方で、社内のデジタル人材が不足している中小企業も多く、「どのようにデジタル化を進めればいいかわからない」、「どのようにデジタル人材を獲得すればいいかわからない」という悩みをお持ちの事業経営者の方も少なくありません。

こうした事情を鑑みて、今回のセミナーではJOINS株式会社代表取締役の猪尾愛隆様を講師にお招きして、中小企業のデジタル化のポイントを実例を交えてお話しいただきました。また、株式会社玉屋代表取締役社長の川島康司様、イデオ株式会社代表取締役井出やす香様の両氏にもご登壇いただき、両社のデジタル化事例についてもお話しいただきました。

以下、当日のプログラムに沿って、セミナーの概要をご紹介いたします。

1.事業説明

最初に、京都府プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャーの岡本より、同事業についてご説明させていただきました。

当拠点では、京都府内中小企業等の「攻めの経営」を支援するために、プロフェッショナル人材とのマッチングサポート事業を運営しております。「攻めの経営」とは、新商品・サービスの開発、新たな販路開拓、海外展開、生産性の向上等に挑み、経営革新を遂行する経営のことです。「攻めの経営」を通じて企業の成長戦略を具現化する人材がプロフェッショナル人材であり、民間人材ビジネス事業者等とも連携しながら、「攻めの経営」に目覚めた企業と成長戦略を具現化するプロフェッショナル人材とのマッチングを促進し、サポートしていきます。

今年度より、新たに「副業・兼業によるプロフェッショナル人材の紹介」も開始いたしました。コロナ禍も相俟って、「デジタル化人材をいかに活用するか」という課題・悩みを持つ経営者の方も増えています。こうした状況下では、副業・兼業人材の活用が欠かせません。

当拠点では、今回登壇いただいたJOINS株式会社を含む4つの人材仲介事業者が登録されています。当拠点の担当者が経営者の皆様の課題やお悩みをお伺いした上で、副業・兼業人材のリストをご紹介いたします。また、担当者と人材紹介事業者を交えてご相談をお受けすることも可能です。事業者の皆様が要件とマッチした副業・兼業人材を発見できるよう、適切な伴走支援をいたします。(詳細はプロフェッショナル人材戦力拠点事業のパンフレットをご覧ください。)

2.猪尾愛隆様による基調講演

2.猪尾愛隆様による基調講演

基調講演では、JOINS株式会社代表取締役の猪尾愛隆様より、「中小企業のデジタル化のポイントと実行ノウハウ -副業・兼業プロ人材活用を活用して実務推進する方法」というテーマでご講演をいただきました。

まずは、JOINS株式会社が運営されている「副業・兼業人材と中小企業のマッチングサービス」についてご説明いただきました。既に約300社が募集を行い、そのうち約250社が成約・人材獲得。また、250社のうちの6割以上がデジタル化に関するもので、マーケティング、販売、経理等の分野での売上拡大や費用削減を目的とするものが多いとのことです。

次に、売上拡大を目的とした人材募集・採用の事例についてご紹介いただきました。例えば、秋刀魚のお惣菜をメイン商品としている消費財メーカー様では、従来は百貨店での店頭販売が中心でしたが、ネット通販の売上をより拡大したいと検討されていました。そこでJOINSを利用して人材を募集し、採用。また、アパートの賃貸仲介会社様では、Google等の検索エンジンで検索を行った際に自社のホームページを上位に表示させられるかどうかが売上拡大の鍵であったため、検索エンジン最適化(SEO)対策に強い人材を募集し、採用に至りました。

同様に、SNSでの売上拡大を目的とした人材募集のニーズも多く、ある建設会社では従来の集客の手段は折り込みチラシでしたが、昨今はメインターゲットである20代の世帯が新聞を取っていない場合も多く、チラシでは集客が難しくなってきており、他社がSNSで集客しているという状況下で、自社でもSNSでの集客に力を入れるべく、JOINSで副業・兼業人材を募集されました。

また、費用削減を目的とした人材募集・採用の事例については売上拡大を目的とした場合よりも、より幅広い業種の方に利用されており、ある税理士事務所ではコスト削減のためにRPA(Robotic Process Automationの略。事務業務等の業務効率化するソフトの意)を導入するべく、副業・兼業人材を活用されました。

「中小企業のデジタル化で押さえるべき3つのポイント」として、1つめは「目の前のことを小さく始め、やりながら次を決めていく」こと。1年単位でやろうというケースはあまりなく、小さく始めるのが大切。システム開発や、シリコンバレーにあるスタートアップの事業開発においても、同様の考え方が採用されています。2つめは「PDCA(Plan-Do-Check-Action)を愚直に繰り返す」こと。特にWeb集客の最適化を行う場合にはPDCAを繰り返さないとなかなかうまくいかないとのことです。3つめは「内製化」。社内でPDCAを回すノウハウを身につけなければこれからの経営は難しいということです。

「なぜ副業人材が話題になっているのか・活用が進んでいるのか」については、現在、副業人材は約400万人ほどまで増えてきていますが、副業人材が増えた背景には『Web会議ツールの進化』、『副業解禁』、『新型コロナウイルスによるテレワーク普及』の3つの要因があり、また、人材市場全体は生産年齢人口が減少しているので売り手市場ですが、副業人材市場については買い手市場です。「最近の副業人材には、平日の日中にも勤務可能な人材が増えているため、副業・兼業人材も多くなっている」という背景があるとのことでした。副業を解禁している企業には首都圏にある企業が多いため、副業人材には首都圏の大手企業で働く人材が多く、JOINSで契約した人材は毎月解約できるので、契約のリスクが低いとのことです。

最後に、デジタル化に必要な「目の前のことを小さく始め、やりながら次を決めていく」プロセスと、副業・兼業人材の活用は非常に相性が良い点について繰り返されて、講演が終了しました。

3.川島康司様による事例紹介

3.川島康司様による事例紹介

副業人材の採用をされた事例として、株式会社玉屋の代表取締役社長:川島康司様より講演をいただきました。株式会社玉屋は100年の歴史があり、包装資材の企画販売会社です。同社では、パッケージ形式のWebサイトを導入してEC通販を開始されましたが、「Webサイトを活用して上手く売上を上げられていない」という課題がありました。そこで、コンサルティング会社に依頼してWebサイトの活用法についてご相談されたそうですが、コンサルタントの方はアドバイスをするだけで、実際にWebサイトを改善のための業務を実施することはなく、サイトの改善が一向に進まない状況でした。

そこで、京都府プロフェッショナル人材戦略拠点から、副業人材活用についての提案を受け、JOINSで人材募集を試すことに。すると、それまでは1年かけても要件にマッチする人材が集まらなかったそうですが、専門人材からの応募が殺到し、1つの募集に対して約10名の応募があり、最終的には2名と契約。現在では、契約した副業人材を交えて、Webサイト構築・改善やチーム形成等の様々な実務を実行されています。まだ売上改善の結果は出ていませんが、PDCAを回すことができて非常に満足しておられるそうです。

JOINSを利用したメリットとして「専門人材と契約できる」、「こちらが求めている時間だけ従事していただけるので、費用が明瞭で予算化しやすい」、「初月は手数料が無料だったため、契約した方との相性を判断する事ができた」等の点を挙げられました。

4.井出やす香様による事例紹介

4.井出やす香様による事例紹介

日傘の通販を手がけておられるイデオ株式会社代表取締役の井出やす香様にご講演をいただきました。同社では、以前から慢性的な課題として人材不足があり、特に「受注業務」、「物流業務」、「クリエイティブ業務」の3分野についてリソース不足の状況が続いていたそうです。そこにコロナ禍による影響が加わり、これらの課題解決が喫緊の課題になられておりました。「受注業務」、「物流業務」については業務改善ツール(RPA)の導入によって業務効率化に成功したため人材不足が解消。しかし、ツールの導入では対応ができない「クリエイティブ業務」については、依然として人材不足という課題が残っていました。

そのような状況の中、当拠点が同社にマッチする人材をご紹介させていただき、最終的に1名の方をご契約いただきました。契約した副業人材には、日傘販売のためのクリエイティブ業務のディレクションを担当してもらっているとのことです。例えば、日傘のカタログに掲載する画像を作成するためのモデル・カメラマンの採用ディレクション業務、ECサイトのページの制作ディレクション業務も担当されています。

現在では、契約した副業人材のブレーンの方も含めた2名体制でクリエイティブ制作を担当していただいており、同社が納得できる質で業務を遂行できる人材と契約することができ、非常に満足されているとのことでした。副業人材を活用するメリットとして「短期間で契約できる」、「プロジェクトごとに採用できる」、「契約更新のサイクルが短い」の3点を挙げ、お話を締めくくられました。

5.質疑応答

質疑応答では、JOINS猪尾様から玉屋川島様に「副業人材とリモートワークを実施してみて、課題や不便等は感じましたたか」という旨のご質問がありました。川島様からは「リモートワークでの不便は今のところ感じない」、「改善業務だけやってもらえるので非常に効率が良い」等とご満足いただけている旨のご回答をいただきました。

*終わりに

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点では、プロフェッショナル人材採用による中小企業の皆様への支援を強化すべく、今後もイベントの開催や支援体制の整備・強化を行って参ります。最新情報は『京都起業~承継ナビ』をご覧ください。