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「プロフェッショナル人材活用オンラインセミナー 抱える経営課題を「人材活用/採用」で解決する」開催報告

令和3年3月9日(火)に、京都府プロフェッショナル人材戦略拠点による「プロフェッショナル人材活用オンラインセミナー 抱える経営課題を「人材活用/採用」で解決する」を開催いたしました。

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点は、京都府内の中小企業の皆様に、「攻めの経営」への意欲を喚起し、プロフェッショナル人材の活用による成長戦略実現を促す目的で、公益財団法人京都産業21内に平成27年12月1日に設置されました。

今回のセミナーのテーマは「中小企業の人材活用」です。中小企業経営において、適切な人材の活用・採用は最重要課題です。コロナ禍の中で不安定な経営環境に置かれている企業も多く、いつにも増して人材の活用・採用の重要性が増しています。

こうした事情を鑑みて、今回のセミナーではパーソルホールディングス株式会社グループ営業本部事業開発部地方創生セクター担当部長の市野喜久様を講師にお招きして、「コロナの現状・日本のマクロ動向・採用マーケット動向など外部環境について」というテーマでご講演いただきました。また、経営課題解決のための人材活用について、参加者の皆様にワークショップ形式で学んでいただきました。

以下、当日のプログラムに沿って、セミナーの概要をご紹介いたします。

1.事業説明

最初に、京都府プロフェッショナル人材戦略拠点マネージャーの岡本より、同事業についてご説明させていただきました。

当拠点では、京都府内中小企業等の「攻めの経営」を支援するために、プロフェッショナル人材とのマッチングサポート事業を運営しております。「攻めの経営」とは、新商品・サービスの開発、新たな販路開拓、海外展開、生産性の向上等に挑み、経営革新を遂行する経営のことです。「攻めの経営」を通じて企業の成長戦略を具現化する人材がプロフェッショナル人材であり、人材紹介事業者等とも連携しながら、「攻めの経営」に目覚めた企業と成長戦略を具現化するプロフェッショナル人材とのマッチングを促進し、サポートしています。

当拠点には、16の人材紹介事業者が登録されており、多様な人材にリーチできます。また、再就職支援型や、大企業人材交流型、副業・兼業型など、様々な形式でのプロフェッショナル人材活用・採用が可能です。

ご相談いただいた際には、当拠点の担当者が経営者の皆様の課題やお悩みをお伺いした上で、人材紹介事業者等を通じてプロフェッショナル人材をご紹介いたします。事業者の皆様のご要件とマッチした適切なプロフェッショナル人材を発見できるように、伴走支援をいたします。(詳細はプロフェッショナル人材戦力拠点事業のパンフレットをご覧ください。)

2.市野喜久様による基調講演・ワークショップ

2.市野喜久様による基調講演・ワークショップ

基調講演では、パーソルホールディングス株式会社グループ営業本部事業開発部地方創生セクター担当部長の市野喜久様より、「コロナの現状・日本のマクロ動向・採用マーケット動向など外部環境について」というテーマでご講演をいただきました。

まずは、新型コロナウイルスの感染拡大が長期化している環境についてです。「ピンチこそ変容のためのチャンスである」とし、中小企業が生き残るためには、「Withコロナ」を前提として「①環境変化の自分事化」、「②コト(経営課題)の明確化」、「③エンゲージメント(やりがい)の向上」に取り組む必要がある、と述べられました。

「環境変化の自分事化」については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響の例を挙げ、感染拡大の現状や、経済ショックがマイナス13兆円程度であること等の言及がありました。また、新型コロナウイルス感染拡大により新しく生まれたビジネス拡大領域として、「衛生」、「三密防止」、「非接触」、「オンライン」、「巣籠もり」の5つの領域と、それらの領域で生まれた代表的なビジネスについて解説されました。

環境変化の二つ目として、雇用環境の変化について、現在の日本の雇用環境は買い手市場であり、人材の奪い合いとなっているとのことです。また、若手人材のキャリア志向、テレワークの普及で地方移住希望者が増加したこと等を理由に、中小企業にとっては現在が人材獲得の絶好のチャンスであることを強調されました。

環境変化の三つ目としては、マクロの動向について、18歳人口が2000年から2040年の間に半減すること、2030年には644万人の人材不足が想定されること、そのような雇用環境では採用戦略のアップデートが必要であるとのことです。

次に、話題は「コト(経営課題)の明確化」の重要性について。中小企業の経営課題としてよくあるものとしては、「事業承継」、「人手不足・社員定着・人材育成」、「生産性向上(利益率向上)」、「販路開拓/新規事業開発(売上拡大)」の4つの領域を挙げられました。自社の経営課題を言語化して発信することで、社外の優秀な人材を獲得しやすくなる点について強調され、求人情報作成の際のチェックポイントについても解説されました。また、雇用だけでなく、副業・兼業人材も含めたプロフェッショナル人材の獲得・活用方法も紹介していただきました。

市野様は、中小企業では大企業では得がたい経験を得ることができるため、コト(経営課題)を明確にできさえすれば、能力のある人材を獲得することも可能である旨述べられました。「自信を持ってアピールすれば良い」とも述べられ、中小企業の皆様にエールを送られました。

「コト(経営課題の明確化)」というテーマについてより理解するために、「コト(経営課題)の言語化」を体験するワークショップも実施しました。参加者の皆様には2人~3人からなるグループに分かれていただき、自社の経営課題を言語化した上で、他の参加者様に向けてプレゼンテーションを実施するなど、意見交換をしていただきました。

最後は、中小企業が取り組むべき三つ目の課題である「エンゲージメント(やりがい)の向上」の話です。エンゲージメントとは、「居心地の良さ」ではなく、「やりがい」のことであると説明され、やりがいを感じながら働く社員が多い企業ほど業績が良い点について、様々な事例を挙げながら解説されました。中小企業こそ「社員第一」を考えた経営を行うべきであること、それによってエンゲージメントを向上し、競争力の向上を目指すべきであること。そして、「変化に対応できる企業こそが生き残ること」と、「経営課題を明確化して言語化することの重要性」について再度言及し、「コト(経営課題)」を明確にした上で「弊社を助けて欲しい」と発信すれば、人材が集まることについても話されました。

*終わりに

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点では、プロフェッショナル人材採用による中小企業の皆様への支援を強化すべく、今後もイベントの開催や支援体制の整備・強化を行って参ります。最新情報は『京都起業~承継ナビ』をご覧ください。