事業承継支援

「近畿プロフェッショナル人材戦略拠点連携セミナー 攻めの経営 ~後継者は経営者の背中を見て育つ~」開催報告

平成28年8月29日(月)に、京都リサーチパーク(京都市下京区)において「近畿プロフェッショナル人材戦略拠点連携セミナー 攻めの経営 ~後継者は経営者の背中を見て育つ~」を開催いたしました。

01

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点は、京都府内の中小企業の皆さまに、「攻めの経営」(※1)への意欲を喚起し、プロフェッショナル人材(※2)の活用による成長戦略実現を促す目的で、公益財団法人京都産業21内に平成27年12月1日に設置されました。

今回は、本拠点事業のさらなる周知に加えて、「攻めの経営」に目覚めた企業と、成長戦略を具現化するプロフェッショナル人材とのマッチングを推進するために、近畿2府4県に設置されている各プロフェッショナル人材戦略拠点が連携し、「カレーハウスCoCo壱番屋」の創業者である宗次德二氏を講師に招いてセミナーを開催いたしました。

※1「攻めの経営」…新商品の開発や新たな販路開拓などに挑み、経営革新を遂行する経営
※2「プロフェッショナル人材」…「攻めの経営」を通じて成長戦略を具現化する人材

以下、当日のプログラムに沿って、セミナーの概要をご紹介いたします。

1.開会挨拶

まずは、公益財団法人京都産業21の専務理事:小林章一より、昨今の事業継続の近況を交えながら、京都府プロフェッショナル人材戦略拠点の設立の趣旨や目的についてご説明いたしました。

02

2.事業説明:「プロフェッショナル人材戦略拠点事業について」

続いて、大阪府プロフェッショナル人材戦略拠点のマネージャー:乾俊人様より、「プロフェッショナル人材戦略拠点」の事業趣旨、事業スキームなどについてご説明をいただきました。また、大阪府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県、京都府の各都道府県のプロフェッショナル人材戦略拠点の代表より、各拠点の状況や特徴などをご紹介いただきました。(ご参考:京都府プロフェッショナル人材戦略拠点とは

03

3.講演「攻めの経営 ~後継者は経営者の背中を見て育つ~」 宗次 德二 氏

そして、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者:宗次德二様より、「攻めの経営 ~後継者は経営者の背中を見て育つ~」というテーマでご講演をいただきました。ご自身の生い立ちや、就職~創業~事業展開~引退(事業承継)のご経験などをご紹介いただきながら、経営者として大切にされてきた考え方や、事業承継の要である後継者育成に対する考え方についてお話をいただきました。

04

まずは、最良の後継者教育について、「率先垂範」・「現場主義」という2つのキーワードを掲げて、経営者が社内の誰よりも率先して仕事に打ち込むことの大切さを強調しました。例えば、ご自身が理事長を務めるNPO法人「イエロー・エンジェル」での美化・清掃活動においては、花壇の手入れひとつをとっても、ご自身で花柄を摘んだり雑草を抜いたりされているそうです。経営者のそのような姿勢を現場で示すことで、自然に人はついてきて、後継者にもその経営姿勢が引き継がれていく、とお話いただきました。

次に、経営の全ての基本として、「人望厚く誠実で公明正大」であることが基本条件とし、これらを欠いては人はついてこない、ひいては良い経営はできない、とお話いただきました。「判断に迷ったらお客様第一に」、「経営が厳しい時は創業時に戻る」、「にこにこ・きびきび・はきはきと」などの経営姿勢についても触れ、後継者を育成するために、経営者がその姿勢を率先して現場で示すことがいかに大切かが伝わってくるお話でした。

また、経営姿勢について、「右肩上がり経営は経営トップの責務」として、ココイチ(「カレーハウス CoCo 壱番屋」の略称)の例をご紹介いただきました。例えば、カレーの「値下げをしない」という経営方針を採用したことについて、「ココイチでしか食べられないカレーを作ればよい」、「安売りをすることだけがサービスではなく、それよりも、真心のあるサービスを提供する方針を選んだ」という考えを語り、この方針によって、ココイチの原点である喫茶店「バッカス」がお客様に受け入れられて大繁盛につながった、と振り返られました。また、「やさしさ慈善活動は、企業の義務」という経営姿勢についても語り、「イエロー・エンジェル」の美化・清掃事業や、熊本地震被災者への支援活動、若手音楽家への支援のエピソードについてご紹介いただきました。

事業承継の成功体験についても、具体的なエピソードをお話いただきました。「経営者人生で一番の喜びは、素晴らしい経営者に恵まれること」とし、53歳の若さでココイチの経営から引退して次期社長へ経営を委ねた経緯について、「その年の5月に、『次期社長に君のことを考えている、覚悟が決まったらいつでも言って来なさい。楽しみに待っているからね』という旨を話したところ、11月に本人から(社長を)『やりたい』と言われた」というエピソードをご紹介いただき、優秀な経営者に事業を託すことができた事例をご紹介いただきました。

お話の全体を通じて、「率先垂範」・「現場主義」という2つのキーワードを体現し、経営姿勢に共感してついてきてくれる人材を育ててきたからこそ、後継者育成・事業承継の成功につながった、ということが感じられるお話でした。また、ユーモアに富んだお話を交えながら、「人望厚く誠実で公明正大」というお言葉のとおり、参加者・聴衆の興味を惹き続けて、経営や事業承継のヒントを全身で味わうことのできるセミナーでした。

*おわりに

京都府プロフェッショナル人材戦略拠点では、プロフェッショナル人材採用による中小企業の皆様への支援を強化すべく、今後もイベントの開催や支援体制の整備・強化を行って参ります。最新情報は『京都起業~承継ナビ』をご覧ください。